みなさんこんにちは!Stir labリサーチャーのプリズム(Twitter:@prism_cryptos)と申します!
今回の記事は、トップクラスの知名度を誇る暗号資産の投資会社「アラメダリサーチ(ALAMEDA RESEARCH)」に関する調査レポートとなっております!
アラメダリサーチの概要を解説するのはもちろん、時系列で関連ニュースを追ってアラメダリサーチの投資戦略やスタンスを考察していきます!
この記事を見ることで、自らの投資にも活用できる知見が得られる可能性があります!
ぜひぜひ最後までご覧ください!
アラメダリサーチとは?
そもそも「アラメダリサーチってなんだ?」と思った方もいるのではないでしょうか?
アラメダリサーチとは、一言でいえばブロックチェーン・暗号資産系プロジェクトのベンチャーキャピタルです。2017年10月に設立されました。
ベンチャーキャピタルとは、創業して間もない企業、もしくは事業が軌道に乗り始めた企業(いわゆるスタートアップ、ベンチャー)への投資を主な業務として行っている機関のことです。ベンチャーキャピタルは投資先の株式を市場公開前に取得し、投資先企業の事業展開・成長をバックアップしていきます。投資先の事業が成功してIPOで株式が一般公開されたら、公開前に取得した株式をキャッシュに交換して利益を上げるのです。
つまりアラメダリサーチは、創業期や成長期のブロックチェーン・暗号資産関連のプロジェクトへ特化して投資を行っている会社ということです。
ちなみに、アラメダリサーチはFTXという暗号資産取引所を運営している関係で、投資業務以外も行っています。投資業務以外の業務に関しては、「4.具体的な業務内容」の項目で紹介いたしますね!
下の画像が、アラメダリサーチの会社ロゴになっています。
「このロゴはどこかで見たことある!」という方は一定数いらっしゃるのではないでしょうか?
アラメダリサーチの投資先
アラメダリサーチは多くのプロジェクトへ投資を行っており、投資先は公式ホームページにて確認すると60にも上っています。またアラメダリサーチは、トークン取得による投資だけではなくエクイティ(株式)取得での投資も行っているようです。
アラメダリサーチの投資先は以下のページからご覧いただけます。
ちなみにブロックチェーン・暗号資産系プロジェクトのホームページには、そのプロジェクトが投資を受けたベンチャーキャピタルのロゴが掲載されている時があります。アラメダリサーチのロゴも、まれに出てきたりします。
以下の画像は、各プロジェクトのホームページにアラメダリサーチのロゴが掲載されている事例です。
①Solanaブロックチェーン上に構築されたDEX「Serum」
②イーサリアムメインネットのガス代を大幅に削減できるDEX「HashFlow」
③DeFiへの投資をDAO的に(自律分散的に)行うコミュニティ「AladdinDAO」
チームメンバー
世界的な暗号資産ベンチャーキャピタルを運営する方たちは、どのようなキャリアを歩んできたのでしょうか?
アラメダリサーチの公式ホームページにて、チームメンバーの略歴を閲覧することができます。
当該ページはこちらです ⇒ The Team - Alameda Research
2021年12月29日時点において、アラメダリサーチのメインメンバーは以下のページで紹介されている9人のようです。
各メンバーの経歴を見てみると、以下のような経歴がありました。
- 世界トップクラスのマーケットメーカー「Jane Street(ジェーン・ストリート)」のエクイティトレーダーを経験
- オプション取引大手のSIG(サスケハナ・インターナショナル・グループ)の債権ETFデスクにてトレーダーを経験
- スタンフォード大学にて数学学位を取得
- カルフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)にて電子電機&コンピューターサイエンスプログラムを修了
- MIT(マサチューセッツ工科大学)にて数学とコンピューターサイエンスの学位を取得
やはり世界トップクラスの暗号資産ベンチャーキャピタルということもあり、輝かしいキャリアを歩まれてきた方々が多いですね。
権威性の高い(prestigiousな)大学や機関の出身者が多いです。
具体的な業務内容
アラメダリサーチは、具体的にどのような業務を行っているのでしょうか?
結論から申し上げますと、以下の3つの業務を主に行っているようです。
- 投資業務
- OTC取引業務
- マーケットメイキング業務
以下に、上記3つの業務について解説を記載します。
投資業務の解説
これは上述したベンチャーキャピタルとしての業務ですね。
立ち上がって間もない、もしくは軌道に乗り始めたプロジェクトへ投資を行う業務です。
OTC取引業務の解説
OTCとはOver The Counter(直訳だと「店頭を介さない」)の略で、取引所を介さない個人間、企業間での取引のことを指す用語です。
一般的な取引とOTC取引を比較すると、下図のようなイメージになります。
しかし、OTC取引では仲介者がいないことに起因する信用リスクが一定程度存在します。
過去にもOTC取引を利用した暗号資産詐欺の事例が多くあります。
事例の詳細はこちら
中国の警察当局、大物トレーダーを拘束か──暗号資産OTC取引の監視強化 | coindesk JAPAN | コインデスク・ジャパン
そこで暗号資産取引所の運営会社や暗号資産の投資会社は、OTC取引の仲介を手掛けるようになりました。信頼できる第三者機関が取引の仲介を行うことで、信用リスクを抑えて個人間取引が可能となります。
通常のOTC取引と取引所を介したOTC取引を比較すると、下図のようなイメージになります。
アラメダリサーチではFTX OTCというサービスを提供しています。
ユーザーはFTX OTCを利用することで、FTX仲介のもとで暗号資産の個人間取引(OTC取引)が可能となります。
これまでの説明を総括して表にすると、以下のようになります!
- 投資家Aさんが暗号資産の取引を行う場合
取引相手 | 仲介者 | 信用リスク | |
---|---|---|---|
一般的な取引 | Aさん以外の投資家 | 取引所 | 低い(※取引所に依存) |
OTC取引 | Aさん以外の投資家 | なし | 高い |
取引所を介したOTC取引 | Aさん以外の投資家 | 取引所 | 低い(※取引所に依存) |
マーケットメイキング業務の解説
マーケットメイキング(マーケットメイク)とは、金融商品の市場においてマーケットメーカーとなった機関や企業が常に売りと買いの両方の板(注文)を出し続けることで、一般投資家の注文の成立を保証させる行動のことです。
市場の流動性を担保して、一般投資家がいつでも売ったり買ったりできるような市場環境をつくるためには、マーケットメイキングが重要な役割を担っているわけです。
アラメダリサーチは、洗練されたトレードアルゴリズムや優秀なトレーダーによるトレーディングにより、このマーケットメイキング業務を遂行しています。
「何のためにそんなことをしているの?」
「マーケットメーカーには何の得があるの?」
という疑問を抱いた人もいると思うので、軽く解説いたします。
一般投資家が取引を行うような取引所の運営者は、取引所内の取引が増えれば増えるほど収益を上げることができます。
なぜならば、運営者は取引注文の成立に対して手数料収入を設定しているからです。
マーケットメイキングを行って流動性を高めるほど、一般投資家の注文は成立しやすくなります。注文が成立しやすくなると取引所内の取引が増え、おのずと手数料収入も増加していくのです。
アラメダリサーチはマーケットメイキング用の流動性を、FTXを代表とする35の暗号資産取引所に提供しており、その提供分に応じて収益を上げていると考えられます。
アラメダリサーチ関係のニュースを時系列順に深掘り
この項目では、アラメダリサーチに関連するニュースを時系列順に抜粋し、アラメダリサーチの過去の動向を観察していきます。
抜粋元のニュースとしては、ブロックチェーン・暗号資産領域におけるグローバルメディア3社「CoinDesk」、「Cointelegraph」、「The Block」に掲載された記事を使用します。
2021年1月17日の記事 The Blockより【Offline mapping app Maps.me raises $50m led by Alameda Research to enter DeFi】
この記事では、オフラインの地図サービス「Maps.me」が、アラメダリサーチを筆頭としたベンチャーキャピタルから5000万ドルの資金調達を行ったという旨が解説されています。
資金調達の目的は、Maps.meのアプリ内に暗号資産ウォレットの機能を搭載するためのようです。これにより、Maps.meにもともと備わっている旅行ガイド、地図表示サービスに並んで、DEX(分散型取引所)を活用した収益獲得体験をユーザーへ届けることが可能となります。
Maps.meには世界中に140万人のユーザーが存在しています。
この事実から、アラメダリサーチの創設者であるサム・バンクマン・フリード氏(SBF氏)は、「Maps.me内に暗号資産に触れるための入り口を作ることにより、DeFiという画期的なテクノロジーを大衆に届けることができるかもしれない」と主張しています。
抜粋元記事:
Offline mapping app Maps.me raises $50m led by Alameda Research to enter DeFi
2021年10月8日の記事 CoinDeskより【India’s TikTok Rival Chingari Raises $19M From Alameda, Kraken and Galaxy Digital】
この記事では、インド版TikTokと言われている「チンガリ(Chingari)」が、アラメダリサーチを筆頭としたベンチャーキャピタルから1900万ドルの資金調達を行ったという旨が解説されています。
チンガリは2018年に創設され急速に成長したショートムービープラットフォームで、3000万人の月間アクティブユーザーを抱えています。
(※Tiktokの月間アクティブユーザー数は、9月27日の発表時点で10億人)
チンガリは調達した資金を、
①プラットフォーム自体の強化する
②Solanaブロックチェーン上にてネイティブトークン「$GARI」を発行する
という2つの目的のために使用すると述べています。
チンガリは$GARIトークンをプラットフォームに導入することによって、クリエイター経済、ファン経済をブロックチェーン技術によって活発化させるためのトリガーになると期待しているようです。
抜粋元記事:
India's TikTok Rival Chingari Raises $19M From Alameda, Kraken and Galaxy Digital
2021年12月6日の記事 The Blockより【Crypto robo-advisor Stacked raises $35 million from Fidelity International unit and others】
この記事では、暗号資産投資のロボアドバイザーサービスを提供している「Stacked」が、アラメダリサーチを筆頭としたベンチャーキャピタルから3500万ドルの資金調達を行ったことが解説されています。なおこの資金調達には、世界有数の資産運用グループであるフィデリティ(Fidelity)系列のベンチャーキャピタルも参加しています。
Stackedを用いることによって、ユーザーは暗号資産への自動投資を行うことができ、複数の暗号資産取引所に対応しています。
上記に加えてStackedは、2021年6月に米国証券取引委員会(SEC)から投資アドバイザーとしての認可をされており、StackedのCOOであるステフェン氏は「SEC認可のStackedは、暗号資産投資の未経験者に対して、簡単で安全な暗号資産投資を届けることができる」と主張しています。
抜粋元記事:
Crypto robo-advisor Stacked raises $35 million in new funding
2021年12月28日の記事 Cointelegraphより【Speed, scaling, regulation to play key role for crypto in 2022: FTX CEO】
この記事では、SBF氏のTwitterでの発言を要約していました。
SBF氏は2021年12月28日のツイートにて、2022年にクリプト業界の進歩に重要な役割を果たす3項目を列挙しました。
結論から言うとその3項目とは、
- 規制
- スケーリング(一般層への拡大)
- トランザクションのスピードアップ
です。
規制な主な論点としては、ステーブルコインの規制が挙げられています。ステーブルコインをより透明性のある資産に昇華させることで、クリプト業界の繁栄を促すことができるという主張です。
スケーリングの論点としては、ビデオゲームへのユースケースの拡大が挙げられています。NFTに代表されるブロックチェーンを活用した技術が、既存のビデオゲームのユーザー体験をより良いものにできるかどうかが重要であると述べられています。
そして上記2つを実現するために、ブロックチェーン上のトランザクションのスピードアップが必要不可欠だと論じています。トランザクションのスピードアップを実現することで、規制やスケーリングの適切な実行につなげ、一般層にクリプトを広めるための基盤を作るべきだと考えているようです。
ちなみにSBF氏は、この3項目を2022年のFTXのロードマップに関与させることを示唆しています。
当該ツイートはコチラ
1) I've written a bunch about FTX's roadmap.
But I haven't written much about crypto's.
So, here goes. pic.twitter.com/hSIhbFW8zh
— SBF (@SBF_FTX) December 27, 2021
抜粋元記事:
Speed, scaling, regulation to play key role for crypto in 2022: FTX CEO
アラメダリサーチから学ぶ投資戦略
2021年の暗号資産市場において存在感があった投資先は、Layer1領域とメタバース領域だったと思います。
特にLayer1領域はEthereum($ETH)を筆頭に、Solana($SOL)、Fantom($FTM)、Avalanche($AVAX)、Terra($LUNA)などが軒並み盛り上がりを見せました。
なおSolana($SOL)は、アラメダリサーチが投資を行っていたLayer1領域のプロジェクトです。
2022年は、どのような領域が盛り上がるのでしょうか?
この章では2022年のクリプト領域における投資戦略を、前述してきたアラメダリサーチの動向をもとに考察していきます。
※あくまでもアラメダリサーチの動向から導き出された筆者の考察であり、投資助言ではないことを前提にご覧いただけますと幸いです。
アラメダリサーチの投資方針
結論から言うと、2022年に盛り上がるかもしれないセクターは
- クリプトを一般層につなげるプロジェクト(ウォレット系や便利ツール系、エンタメ系など)
- ブロックチェーンを活用したゲーム関連のプロジェクト(メタバース、GameFi領域)
の2つであると考察できます。
Maps.me、チンガリ、Stackedの投資事例を観察すると、アラメダリサーチはクリプトのマスアダプション(大衆への普及)を意識して投資判断をしているように思われます。
2021年12月28日のSBF氏のツイート内容にもその旨が明記され、FTXの2022年のロードマップにも関与するという記載があります(ツイート内では、ゲーム上でのユースケース拡大によってマスアダプションしていく可能性があると言及されていましたね)。
今後、私たちが取るべき方針は?
以上の理由から、一般投資家である私たちもクリプトのマスアダプションを意識して投資先選定、事業選定を行うのが良いかもしれません。
そして、マスアダプションに際して一番注目が集まる対象はDapps(分散型アプリ)だと考えられます。
なぜならば、Dappsがマスにとって一番理解しやすい部分だからです。
一度ゼロベースに立ち返って、
- 自分がマスだったら、このDappsを使用したいと思うか?
- マスにとって使いやすい UI/UX になっているか?
などを考慮してみるのが良いでしょう。
もしかすると、既にマスアダプションに成功した既存アプリケーションにブロックチェーンや暗号資産に関連した機能が搭載されはじめ、最終的にそのアプリのネイティブトークンが発行されて分散化されるというムーブメントが起こるかもしれませんね。
繰り返しになりますが、意識すべきは「リテラシーが一定程度あるクリプト初心者」ではなく「マス(一般大衆)」です。
2022年のアクションプラン
以上の考察を踏まえた今後の具体的なアクションプランとしては、
- 多くの暗号資産ウォレットやクリプト関連の技術を導入したツールを使用し、使いやすさを比較する
- ブロックチェーン、NFTを活用したゲームやエンタメプラットフォームに多く触れてみて、面白さや使いやすさを比較する
の2つを提示させていただきます。
今回の調査レポートはここまでとなります!当記事の情報が読者の皆様のお役に立てれば光栄です!
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筆者:プリズム(@prism_cryptos)
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Stir labでは暗号資産ベンチャーキャピタル(VC)の解説記事を他にも配信しています。
まだご覧になっていない方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
①アラメダリサーチ(ALAMEDA RESEARCH) ー 現在ご覧いただいている記事です
②パラダイム(Paradigm)
Coinbaseとセコイアの出身者が設立したクリプトVC「Paradigm」を徹底調査!
③ポリチェーンキャピタル(Polychain Capital)
参考文献
Offline mapping app Maps.me raises $50m led by Alameda Research to enter DeFi
India's TikTok Rival Chingari Raises $19M From Alameda, Kraken and Galaxy Digital
Crypto robo-advisor Stacked raises $35 million in new funding
Speed, scaling, regulation to play key role for crypto in 2022: FTX CEO