みなさんこんにちは!Stir labのプリズムと申します!
今回はCosmos(ATOM)に関する用語やその特徴、今後のムーブメントについて、初心者の方にもわかりやすく、かつ深掘りして解説していきます!
普段Cosmos関連のチェーンを触っている人でも、何となくの理解に留まっている内容も多いのではないでしょうか!
それでは以下より解説をはじめていきます!
始めにCosmosについて軽くおさらいして、その後に各トピックについて深掘って解説していきます!
Cosmos(コスモス)とは
Cosmos(コスモス)とは、異なるブロックチェーン同士をスムーズに連携するために開発が進められているプロジェクトの総称です。
総称なので、Cosmosは単一のブロックチェーンの名称ではありません(一方で、イーサリアムやソラナは、単一のブロックチェーンの名称ですね)。
なおCosmos上における代表的な単一のブロックチェーンを強いて挙げるとするなら、『Cosmos Hub』であると言えます(記事中で詳細を説明しております)。
総称としてのCosmosをイメージする際には、以下の画像が参考になります。
単にCosmosという言葉を用いるときには、下記画像全体のようなシステムを想起すると良いと思います。
画像引用元:COSMOS Official site
各詳細については本記事にて解説しておりますので、とりあえず現段階ではCosmosというのは上の画像のようなシステム全体のことを指す言葉なんだな~という認識を持っていただければ幸いです。
Cosmos(コスモス)の発展が重要な理由
Cosmosが掲げているミッションは、ブロックチェーン同士の完全なインターオペラビリティの実現です。
このミッションは、暗号資産およびブロックチェーン技術が開発されている背景、つまりは中央集権から分散化への移行を推進するべきという思想が色濃く反映されています。
以下にその詳細を述べていきます。
インターオペラビリティ(interoperability)とは?
インターオペラビリティとは一般的に、複数の異なるプログラム同士が共通の規格やルールなどを通じて相互に通信し、データのやり取りを行ったりできるようになるという概念を指す言葉です。
ブロックチェーン業界特有の用語という訳ではなく、広くIT業界で用いられている言葉です。
日本語では「相互運用性」と訳されていることが多いですね。
ブロックチェーンの文脈におけるインターオペラビリティ、つまりブロックチェーン同士が相互に通信可能な世界を実現するために、Cosmosは開発されているのです。
インターオペラビリティを実現するための要素
インターオペラビリティが実現した世界を作るために、Cosmosでは各種技術の開発が行われています。
その主な技術としては以下の3つが挙げられています。
- IBC
- Tendermint
- Cosmos SDK
これら技術の詳細については、本記事において後述されています。
ぜひご覧いただき、Cosmosの全体観をつかんでいただけますと幸いです。
なぜインターオペラビリティが重要なのか?
この項目の内容は、Cosmosの開発背景をたどるのに非常に重要です。
Cosmosが完全なインターオペラビリティの実現を掲げている背景には、これまでのブロックチェーンの発展の歴史が関係しています。
ビットコイン、イーサリアムと開発が進んでいったことで、ブロックチェーン技術は単純な決済手段の機能から拡張され、より広いユースケース(活用例)に対応できるようになりました。
しかし、そのような発展の裏ではとある弊害が起こっていました。
その弊害を取り除くためにインターオペラビリティが重要視されています。
以下より、その理由を①利便性の観点、と②分散化とカスタマイズ性の観点、から解説していきます。
利便性の観点
一つ目の観点は、広義でのブロックチェーンの利便性の観点です。
従来のブロックチェーンの座組みにおいては、1つのブロックチェーンにおけるトランザクションが増加することによる通信速度の低下、取引手数料の高騰などが発生しました。いわゆる、スケーラビリティ問題ですね。
このような事態を解決するために提示されたのが、Dappsがそれぞれの独自チェーンを持ち、独自チェーン同士が接続するという方法だったのです。
分散化とカスタマイズ性の観点
もう一つの観点として挙げられるのは、分散化とカスタマイズ性の観点です。
イーサリアム上で開発されているDapps(分散型アプリケーション)は、ある意味Dappsプラットフォームとしてのイーサリアムブロックチェーンに依存しています。この状況はいわば一極集中であり、分散化の思想とは矛盾しています。
上記のような背景を受けて、「ブロックチェーン自体の分散化を進めなければならないよね?」という発想に帰着しました。
その解決策として挙げられたのが、それぞれのDappsが独自のブロックチェーンを持ち、その独自チェーン同士が相互に接続するという方法だったのです。
このような方式を採用することで、ブロックチェーン自体のカスタマイズ性も向上します。
なぜならば、そのアプリケーションが提供するユーザー体験に特化したブロックチェーンを構築できるようになるためです。
このような座組みにすることで、個々のアプリケーションが単一のブロックチェーンの仕様に従う必要がなくなり、当該アプリケーションの利便性やセキュリティを最大化することが可能となるのです。
上述した2つの観点から、インターオペラビリティが重要であると言うことができます。
Cosmosエコシステムの概観
抽象的な概念の解説に入る前に、実際に現行のCosmos上で動いている具体的なプロジェクトを見てみましょう。
Cosmosエコシステム上には既に数多くのブロックチェーンやアプリケーションが開発されています。本記事執筆時点(2022年10月20日)においては、48のブロックチェーンがCosmosエコシステム上に存在しています。
代表的な例としては、以下の3つが挙げられます。
- Osmosis(オスモシス)
- Evmos(エブモス)
- Secret Network(シークレット・ネットワーク)
以下よりそれぞれの概要を記載致します。
なお、Cosmos自体の解説とは直接的には関係しない部分になりますので、飛ばし読みしていただいても問題ありません。
Osmosis(オスモシス)
Osmosisは、Cosmosエコシステム上でAMM(自動マーケットメイカー)を提供し、分散的なトレード体験を提供するブロックチェーンです。シンプルに言うと、Cosmosエコシステム上に構築されたDEX(分散型取引所)です。
既定のルール(スマートコントラクト)に従って、自動で取引のマッチングを行うプログラム、およびそのようなシステム全体を指す言葉です。
代表的なAMMとしては、Ethereumベースで構築されたUniswapが挙げられます。
Evmos(エブモス)
Evmosは、イーサリアムベースで構築されたDapps(分散型アプリ)や暗号資産を、Cosmosエコシステム上に持ってくることができるブロックチェーンです。
端的に言うと、イーサリアムとの互換性を持つCosmosエコシステム上のブロックチェーンです。
イーサリアムエコシステム上には既に数多くのDappsが存在しているため、同じようなユーザー体験がCosmos上でも可能になることでCosmosエコシステムが更に盛り上がりを見せると期待されています。
その名前は、EVM(イーサリアム上のスマートコントラクトと互換性のある機械語翻訳マシン)とCosmosをつなげるというミッションから、EV(M)+ (Cos)mosでEvmosとなっているようです。
ちなみに、EvmosはもともとEthermintという名前だったプロジェクトをリブランディングしたものです。
Secret Network(シークレット・ネットワーク)
Secret Networkは、プライバシー保護の機能を有したスマートコントラクトが搭載されているブロックチェーンです。
従来のブロックチェーンは、取引履歴がすべて公開されていました。実際にイーサリアム上での取引は、取引金額や時間といった情報が全て第三者から閲覧可能です(Etherscanなどのブロックエクスプローラ―で追跡可能です)。
Secret Network開発元のSCRT Labsは、上記のような仕様がプライバシーと利便性の毀損につながり、結果としてブロックチェーン技術の普及を妨げる要因になると捉えています。
このような背景より、プログラマブルプライバシー(プログラムされたプライバシー)というコンセプトを掲げられ、Secret Networkが開発されています。
補足情報
他の日本語情報サイトにおいて上記のプロジェクトたちを『Cosmosブロックチェーン上のプロジェクト』と記載されていることが多いですが、厳密には正しくありません。
あくまでも上記のプロジェクトは、それぞれ独立したブロックチェーン上に構築されています(つまり、OsmosisはOsmosisブロックチェーン上に構築されたAMMである、という認識が正しいのです)。
また現在のCosmos上にあるブロックチェーンを、宇宙に浮かぶ惑星のように可視化したサイトがあります(➡MINTSCAN IBC NETWORKS)。
以下の画像のように、各ブロックチェーン間の通信が線で表されており、惑星の大きさで当該ブロックチェーンの盛り上がり具合を直感的に観察することができます。
IBC、Hub、Zoneの概念
IBC (Inter-Blockchain Communication) Protocol とは
IBCとは一言で言うと、独立したブロックチェーン同士が相互に通信できるようになるための規格(ルール)です。
IBCを活用することによって、異なるチェーン間におけるトラストレスな相互通信を可能とし、トークンといった価値を交換することができるようになっています。
将来的にIBCは、コンセンサスアルゴリズムやプログラミング言語が異なる様々なブロックチェーンに対して汎用的に対応が可能となることを目指しているようです。
Cosmos Hubとは
Cosmos Hubとは、Cosmosネットワークの中心となるブロックチェーンのことです。
2019年3月13日にそのコンセプトが発表され同年12月12日に立ち上がりました。
Cosmos上で初めて開発されたブロックチェーンとなっています。
Cosmos Hubはその機能として、Cosmosエコシステム上のルーティング(通信の仲介)に特化しています。
より具体的に表すと、Cosmos HubはCosmosエコシステム上におけるIBC通信の中継監視役であると言えます。
要するに、不正な通信を検知して除外する機能を提供しているのです。
Cosmos HubがCosmosエコシステムに対して提供している機能はこれだけです。
Hub(ハブ)には中心や中核といった意味があり、一般的にはハブ空港(世界各地からの航空路線が集中し、航空運搬の要となる空港)といった使われ方をしています。
細かいところですが、一応補足としてATOMについても記載しておきます。
一般的にCosmosのネイティブトークンとして認知されているATOMトークンは、厳密に言うとCosmosのネイティブトークンではなくCosmos Hubのネイティブトークンです。
ATOMを所有していることによって可能となるガバナンス投票の対象は、Cosmosエコシステム全体の変更ではなくCosmos Hubについてのガバナンスとなっています。
HubとZone
CosmosにはHub(ハブ)とZone(ゾーン)という概念があります。
Hubは異なるブロックチェーン同士の通信を取り持つ役割を持ったブロックチェーンです。
一言で言うと、独立したブロックチェーン同士のルーターですね。
上述したCosmos Hubは、Cosmos上に構築された最初のHubとなっています。
Hubに接続される様々なブロックチェーンをZoneと呼びます。
将来的にはビットコインやイーサリアムといった外部のブロックチェーンもZoneとしてCosmos上のHubと通信できるようになるとされています。
言葉だけだと分かりずらいので、次の項目にて図を交えながら詳細を解説していきます。
IBC、Hub、Zoneの関係図
Cosmos上に構築されるネットワークは、IBC、Hub、Zoneという3要素で簡略化して理解することができます。
HubとZoneは、IBCという通信規格により相互に通信が可能となっています。
『通信が可能』とは、何らかのデータ(トークン数、取引時間といったトランザクションデータ)のやり取りが行えるということです。
通信が可能であるがゆえに、ブロックチェーン間のトークンの交換(スワップやブリッジ)も可能となります。
ZoneはHubに接続することで、同じHubに接続されている別のZoneとの通信を行うことが可能となります。
つまり、Hubは独立しているZone同士(ブロックチェーン同士)のルーターのように機能するということです。
そしてHubもまた、ブロックチェーンなのです。
イーサリアムの構造を理解している方であれば、Hubがビーコンチェーン、Zoneがシャードチェーンのような捉え方をすると分かりやすいかもしれません。
加えて、以下の図のようにHub同士の接続も可能です。
上記のような構造であれば、Hub2に接続していてHub1に接続していないZone①が、IBCを通してZone②と通信ができるようになりますね。
上の画像のような構造をどんどんつなげていくことで、Cosmosが掲げているInternet of Blockchain(ブロックチェーンのインターネット)が出来上がります。
最終的にCosmosが目指しているネットワークは、下図のようなイメージとなっています。
Cosmos Hub以外のHubの具体例『IRISnet』
上記の解説より、IBC、Hub、Zoneの関係性がご理解いただけたと思います。
ここまで読んでいただいた方の中には「Cosmos Hub以外のHubの具体例を知りたい」という要望がある方もいらっしゃるかと思います。
結論、Cosmos Hub以外のHubとしては『IRISnet』というブロックチェーンが挙げられます。
IRISnetは、既存のITシステムとブロックチェーンを連携するための機能を有したブロックチェーンです。
もしIRISの詳細を調べる場合は、IRISnetの公式ドキュメントを参照されるのが良いでしょう。
IRISnetのようなHubの役割を持つブロックチェーンと、Zoneの役割をもつアプリケーション特化のブロックチェーン(Osmosisなど)の開発が進んでいくことで、Cosmosエコシステム全体が隆盛していくのです。
Cosmos上のZoneを可視化したサイト
現在のCosmos上にあるZone同士のつながりを可視化したサイトがあります(➡MAP OF ZONES)。
以下の画像のように、各Zone間の通信が線で表されており、円の大きさで当該Zoneの盛り上がり具合を直感的に観察することができます。
Cosmosの開発環境
Cosmosではあらゆる開発ツールが用意されており、多くの開発者がCosmosエコシステムへ貢献できる地盤が整っています。
こういった開発基盤の整備に積極的な姿勢が、今後Cosmosエコシステムが拡大していくと予想できる要因の一つとなっています。
この項目では、そういった開発基盤についての概要をさらっと抑えましょう。
Cosmos SDK
Cosmos SDKとは、端的に言うとブロックチェーンを開発するためのツールです。
一般的にSDKとは、ソフトウェアを開発する際に必要なプログラム、API、ドキュメントおよびサンプルコードなどをひとまとめにしたものを指します。
開発者はSDK上に用意されたツール群を使用することで、背景にある技術的な詳しい仕組みを理解せずとも開発が可能になるのです。
つまりCosmos SDKは、Cosmosに関する細かな技術的仕様を知らなくても、簡単かつ効率的にブロックチェーンが作れるツールだということです。
基本的にはIBCで相互通信が可能なブロックチェーンを作成することが想定されているようですが、単なるブロックチェーン(Cosmosとは関係のないブロックチェーン)を作ることも可能なようです。
ちなみに、LINE株式会社が開発しているLINE Blockchainや、暗号資産取引所Binanceが開発しているBNB Chain(BNB smart chainではありません)も、Cosmos SDKで開発されています。
Tendermint
Tendermintは、コンセンサス(単純な多数決)とP2P通信が構築可能なソフトウェアです。
もう少し厳密には、ブロックチェーンにおけるトークンやコンセンサスアルゴリズム、IBCといったネットワーク形成の開発部分をテンプレート化することで、容易にブロックチェーンの構築ができるようになった開発ツールであると言うことができます。
ignite CLI (旧starpod)
ignite CLIは、ざっくり言うとブロックチェーン(アプリケーション)を構築、起動、保守するための機能が備わったソフトウェアです。
コードの冗長な部分を補完してくれるCosmos SDK開発者向けのインターフェースであるため、開発者はアプリケーション本体及びそのアプリケーションに特化したブロックチェーンの設計・開発に集中できるのです。
CosmJS
CosmJSとは、Javascript及びTypeScriptというプログラミング言語で使用可能なライブラリです。
ライブラリとは、便利な機能を持ったプログラムの集まり、とご理解ください。
CosmJSは、ユーザーインターフェース(UI)とブロックチェーン間の通信をスムーズに行うために使用するツールとなっています。
イーサリアムブロックチェーンと通信可能なJavascriptライブラリに、web3.jsというものがあります。
CosmJSは、web3.jsのCosmos版というイメージですね。
コンセンサスエンジン『Tendermint Core』とは
Tendermint Coreとは、前述した開発ツールであるTendermintにおけるコンポーネント(ソフトウェアを構成する一部分)の名前です。
コンセンサスアルゴリズムを含むブロックチェーンのインフラ的側面を管理するためのシステムだとイメージすると分かりやすいかと思います。
以下の小見出しでは、Tendermint Core周りで混乱しがちなことをコラム的に書いていきます。
Tendermint Coreはコンセンサスアルゴリズムではない
日本語の情報サイトにおいて、Tendermint CoreがCosmosで用いられているコンセンサスアルゴリズムであると記載している記事が散見されます。
しかしながら、そのような表記は明確に間違っています。
Tendermint Coreはあくまでもコンセンサスエンジン(合意形成を行うための処理機構をまとめたソフトウェアシステム)です。
Tendermint Coreの中で動いているコンセンサスアルゴリズムは、PoS(Proof of Stake)ベースのものとなっています。
まぎらわしいTendermint
Tendermintの情報を掘り下げていくと、似たような名称の用語が頻出し混乱に陥る可能性が高いです。以下ではそのような用語を取り上げます。
- Tendermint ⇒ これは開発ツールの名前です。本記事ではこの部分で解説しています。
- Tendermint Inc. ⇒ これは会社の名前です。本記事ではこの部分で解説しています。
- Tendermint Core ⇒ これはエンジンの名前です。本項目にて解説しています。
エンジンとはITにおける用語で、特定の機能やサービスに特化したハードウェアやソフトウェアを指す言葉です。
GoogleやYahoo!といった検索エンジンは、検索機能に特化したソフトウェアですね。
ATOMトークンの使い道
ATOMはCosmos Hubというブロックチェーンのネイティブトークンです。
ATOMの使用例としては、以下の3つが挙げれます。
- Cosmos Hub上でトランザクションを発生させる際の、トランザクション手数料(取引手数料)の支払い
- Cosmos Hubに関するガバナンス投票に参加するための権利
- ブロック生成報酬を受け取るためのステーキング(Cosmos HubではDPoSというコンセンサスアルゴリズムを使用しているため、デリゲートと言ったりもします)
Cosmos Hubの大型アップデート『ATOM 2.0』
ATOM2.0とは、Cosmos Hubへの新機能追加とATOMトークンの価値向上を目的とした計画です。
今回の記事では、ATOMトークンの価値を高めるための施策である供給量の変化についてのみ解説いたします。
基本的にATOM2.0の目的はATOMトークンの価値向上(及びそれに付随するCosmos全体のセキュリティ向上)に帰結しますので、細かい部分を省いてアップデートによって最終的にどうなるのかだけを解説いたします。
なお、ATOM2.0で議論されていたその他のトピックについて日本語で知りたい方は、TOKEN ECONOMISTさんの『Cosmos (ATOM 2.0) の解説』、またはCryptobaby🐰なーちゃんねるさんの『ATOM2.0徹底解剖💉Monthly Cosmos』をご覧ください。
実際にATOM2.0の議論が行われているサイト(一次情報)を覗いてみたい方は、COSMOS HUB FORUMの『A new vision for Cosmos Hub』もご覧いただくと、リアルタイムで情報を得ることができます。
ATOMトークンの供給量の変化
従来のCosmosにおいて、そのネイティブトークンである $ATOM は典型的なインフレトークンでした。
要するに、ATOMトークンの供給量増加によって、時間経過とともに1トークン当たりのATOMの価値が減少してしまうような設計だったということです。
ATOM 2.0では、この欠点が改善される予定です。
以下の図は、ATOMトークンの累積発行数を表すグラフとなっています。
点線のシミュレーションが従来のCOSMOS、実線のシミュレーションがATOM2.0へアップデートした後の累積トークン供給量です。
ATOM 2.0への移行が、ATOMの希少性に対して大きなインパクトがあることが伺えますね。
Cosmosを追う上で注目すべき団体
この項目では、Cosmosを理解する上で知っておくと少し視野が広がる(かもしれない)団体とその説明を記載していきます。
扱う団体は以下の3つです。
- Interchain Foundation(インターチェーン・ファウンデーション)
- Ignite(旧Tendermint Inc.)
- Chainapsis(チェイナプシス)
Interchain Foundation (ICF)
Interchain Foundation (略してICF) は、スイスのクリプト企業集積地であるクリプトバレーに拠点を置く非営利団体で、2016年に設立されました。
主にCosmosの開発や研究サポート、Cosmosエコシステムやコミュニティに対する推進活動を行っています。
ICFが行っている活動は、主に以下の3つです。
- 研究・開発・運用資金の援助
- Cosmosエコシステム全体の推進活動
- 研究機関、規制機関、非営利団体などを巻き込んだ、ブロックチェーン技術に関する啓蒙活動
ICFの動きがCosmosエコシステム上に大きな影響を与える可能性は高いので、注目すべき団体だと言えるでしょう。
Ignite (旧Tendermint Inc.)
Ignite(イグナイト)は、サンフランシスコに拠点を置くソフトウェア企業として2014年に創業されました。
創業者はCosmosのファウンダーであるJae Kwon氏とEthan Buchman氏です。
元々はTendermintを開発するため企業として創業されましたが、現在ではInterchain foundationからの委託を受ける形でCosmos SDKやIBC Protocolの開発も行っています。
Cosmosを盛り上げるための資金援助や啓蒙をInterchain Foundationが行い、実際の技術開発はTendermint Inc.が担っている、と認識すると分かりやすいかと思います。
Chainapsis
Chainapsis(チェイナプシス)は韓国にある会社で、Cosmosエコシステム上で影響力のあるプロダクトを複数開発しています。
Cosmosのウォレットとして知名度の高い Keplr や、Cosmosエコシステム上で最も影響力のあるDEXである Osmosis の開発に携わっています。
今後リリースするプロダクトに関しても、Cosmosエコシステムに大きな影響を与える可能性があります。注視しておくべきかと思います。
Cosmosの大規模イベント『Cosmoverse(コスモバース)』
Cosmosでは定期的な大規模イベントであるCosmoverseが開催されています。
最新の情報を追うためには、このイベントの情報もキャッチアップする必要があるでしょう。
Cosmoverseは、Cosmosコミュニティ主導の大規模なカンファレンスイベントです。
Cosmosに関する新たな技術的進捗などが議論及び公表される場としても認知されており、注目度が非常に高いイベントとなっています。
Cosmosの開発を学べる無料の学習プログラム『The Interchain Developer Academy』
Cosmosエコシステム上における開発を学びたい人は、The Interchain Developer Academyという無料の学習プログラムに参加することが可能です。
これは前述したInterchain Foundation(ICF)が提供している7週間のオンラインプログラムで、参加者はCosmosの専門家の方々から以下のようなトピックを学ぶことができるようです。
- 一般的なブロックチェーンと暗号理論の知識
- Cosmos SDKを活用した独自ブロックチェーンの開発
- CosmJSを活用したフロント及びバックエンドアプリケーションの開発
- Cosmos上のノードやバリデーター管理
参加に際してはブロックチェーン開発に関する知識は要求されず、一般的なソフトウェア開発の知識があれば問題ないようです。
関心のある方は、コチラの公式サイトから応募してみてはいかがでしょうか。
Cosmos関連の一次情報が取得できるサイト一覧
Cosmosはその系譜や技術背景が非常に複雑であり、一次情報を取得するのに労力がかかります。
そこでこの項目では、一次情報(つまり公式のサイト)のURL一覧を記載していきます。
自らの情報収集の際に役立てていただければ幸いです。
機関・団体・プロジェクト名 | サイトURL |
Cosmos | https://cosmos.network/ |
Cosmos Hub | https://hub.cosmos.network/main/hub-overview/overview.html |
IBC | https://ibcprotocol.org/ |
Cosmos SDK | https://docs.cosmos.network/main |
Ignite | https://ignite.com/ |
CosmWasm | https://cosmwasm.com/ |
CosmJS | https://github.com/cosmos/cosmjs |
Tendermint Core | https://docs.tendermint.com/ |
Interchain Foundation | https://interchain.io/ |
Tendermint Inc. | https://tendermint.com/ |
現在のCosmosのオフィシャルサイトは上記リストに記載したとおりですが、リニューアル前のCosmosオフィシャルサイトも存在しています。
それがこちらのサイトです。
記事の解説内容を一枚の画像にしてみた(記事のまとめ)
ここまで記事をご覧いただき誠にありがとうございました!
本記事の内容で、Cosmos関連の議論が行われる際に使用される用語や概念については一通り抑えられたかと思います!
まだあやふやな知識がある場合は、ぜひこの記事を見返して復習いただけると幸いです!
…とはいえ、何度も見返すのは大変ですよね。
そこで、この記事の内容を一枚の画像にまとめてみました!
一つ一つの内容は薄まっていますが、本記事をご覧いただいた方であればこの画像を見れば概略は思い出せるかと思います!
それでは改めまして、ここまでお読みいただき誠にありがとうございました!
過去のコスモス系記事
Stir labでは過去にも複数のCosmosエコシステムに関する記事を執筆しております。
関心がありましたら、ぜひこちらもご覧いただけますと幸いです。
公式ページ以外の主な参考文献
- Binance Academy - What Is Cosmos (ATOM)?
- Binance Academy - Tendermint Explained
- CoinMarketCap - A Deep Dive Into the Cosmos Network and the Cosmos Ecosystem
- Bankless - A beginner’s guide to Cosmos
- Cryptopedia powered by Gemini - Ignite (Tendermint) and The Cosmos Network
- Blockchain Biz - 「Cosmos(コスモス)」ブロックチェーン同士をつなぐサービス
- Blockchain Biz - Tendermint - ブロックチェーンアプリケーションエンジン
- TOKENECONOMIST - Cosmos「ATOM2.0」の解説
- NAa Channel(YouTube) - MonthlyCosmos”そこそこやさしい$ATOM"
- NAa Channel(YouTube) - ATOM2.0徹底解剖💉Monthly Cosmos
- Takuya Fujita(Medium) - Cosmos SDKをちゃんと知る その1
- gbec - Cosmos SDKをちゃんと知る その2
- Kimura Yu(Zenn) - Cosmos SDKの教科書
- スペックの持ち腐れ - Cosmosのセキュリティについて解説しよう
- jeijeijei777(Qiita) - Tendermintってなんぞや?
弊社について
弊社Stir(@Stir_Network_JP)では、ステーキングやノード(バリデーター)、テストネット参加用のノード作成・運用・保守、およびマイニング支援に関するサービスを提供しております。
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