みなさんこんにちは!
Stir labのプリズムと申します!
今回はCosmos Hubに関するガバナンスに関して、その流れを初心者の方でもわかりやすく解説していきます。
本記事を読むことで、ガバナンスの仕組みが詳しく理解でき、今後のCosmos Hubの動向を正しく観測するための知識を得ることが可能です。
まずはCosmos Hubとは何かを解説し、その後に具体的なガバナンスプロセスを解説していきます。
Cosmos Hubとは
Cosmos Hubとは、Cosmosネットワークの中心となるブロックチェーンのことです。
2019年3月13日にそのコンセプトが発表され同年12月12日に立ち上がりました。
Cosmos上で初めて開発されたブロックチェーンとなっています。
Cosmos Hubはその機能として、Cosmosエコシステム上のルーティング(通信の仲介)に特化しています。
より具体的に表すと、Cosmos HubはCosmosエコシステム上におけるIBC通信の中継監視役であると言えます。
要するに、不正な通信を検知して除外する機能を提供しているのです。
Cosmos HubがCosmosエコシステムに対して提供している機能はこれだけです。
Cosmos Hubのガバナンスの全体像
まずはガバナンスの全体像を見てみましょう。
基本的には以下の図の通りです。
この図だけを見ても分かりにくい箇所があると思いますので、下記にて詳細を説明していきます。
ガバナンスのプロセス
Cosmos Hubにおけるガバナンスにおいては、明示的に以下2つの期間と2つのプロセスが存在しています。
イベント①:提案の提出
期間① :Deposit Period(デポジット期間)
期間② :Voting Period(投票期間)
イベント②:Tallying(集計)
それぞれの期間と処理について、以下にて解説してきます。
Proposal(提案、プロポーザル)の提出
Cosmos Hubのガバナンスの出発点となるのが、提案の提出です。
誰かしらがCosmos Hubに関する何らかの提案をネットワークに提出します。
提案に必要な費用は、トランザクション手数料分の ATOMトークン のみとなっています。
なお提案の提出方法は、Cosmos Hub公式ドキュメントのコチラのページにて解説されています。
Deposit Period(デポジット期間)
デポジット期間とは、提出された提案に関するデポジット(預託金)を集めるために用意されている期間です。
デポジット期間は最大で14日間となっており、この期間中に64 ATOM以上のデポジットを集められなければ当該提案は無効となってしまいます。
いわばこのデポジットは、提案が適切な内容であるかどうかをフィルターにかける足きりであると捉えることができます。
このデポジットには、ATOMの保有者およびバリデータであれば誰でも協力することができます。
必ずしも提案を提出する側が必要なデポジットを用意する必要はありません。
なお、提案の投票結果にて投票数の3分の1以上が「VETO」であった場合、デポジットされたATOMはバーンされます。(VETOについては、本記事中のこの部分にて解説しております)
このバーン機能があることにより、Cosmosコミュニティは提案内容を精査してデポジットを行うようになるのです。
Voting Period(投票期間)
投票期間とは、提出された提案に対してCosmosコミュニティによる投票を行う期間のことです。
投票期間は14日間で、投票期間中に参加者は「YES」、「NO」、「VETO」、「ABSTAIN」という4つの選択肢から一つを選んで投票を行います。
投票者は、投票期間の終了前であればいつでも選択を変更することができます。
なお、投票はATOMをステーキングしているユーザーのみ参加可能であり、各人の投票の影響力はステーキングしたATOMの数量で決定されます。
Tallying(集計)
上記2つの期間を経て投票が終了し、結果の集計に入ります。
結果の集計に当たっては、以下の点を確認されます。
- 投票数が定足数を満たしているか
- YESの投票数が投票数の50%を超えているか
- VETOの投票数が投票数の約3分の1(33.4%)を下回っているか
上記3つの条件を全て満たしたとき、提案がCosmosコミュニティから承認されたことになります。
逆に上記3つの条件の内一つでも満たされなかった場合は、提案は拒否されたことになります。
実際に提案の状態を見てみる(Keplrのケース)
以下の画像は代表的なCosmos系のウォレットの一つであるKeplr にて、ガバナンスのUIを表示したものです。
各提案の左上部分に、当該提案の状態が表示されているのが分かるかと思います。
上記の画像中では、#86はVoting Period中の提案、#85はDeposit Period中の提案、#83はTallying(集計)まで終了した結果否決(Rejected)されている提案であると分かりますね。
ガバナンスに参加する際の選択肢
Cosmos Hubのオンチェーンガバナンスに参加する際には、以下の4つから提案内容に対する自らの意向を選択します。
選択肢 | 説明 |
---|---|
YES | 提案の承認を示します |
NO | 提案の否認を示します |
VETO (NoWithVeto) | NOよりも強い提案の否認を示します なお、VETO への投票数が全体の投票数の3分の1(33.4%)を超える場合、当該提案は拒否されデポジットはバーンされます |
ABSTAIN | 投票を棄権します |
VETO (NoWithVeto) という選択肢は、提案自体がスパムだと思われるもの、あるいはCosmosコミュニティにとって望ましくない結果につながると考えられる提案に対して、選択されることが期待されています。
加えて VETO (NoWithVeto) は、投票数において少なくとも3分の1を占める少数派が、提案を拒否するための仕組みを提供するものです。
具体例を紹介します。
もし複数のバリデータが共謀して特定の提案に関する投票結果を操作しようとした場合、少なくとも3分の1以上の VETO への投票があればこの悪事を阻止することができます。
このような機能が存在することにより、コミュニティ全体の秩序の安定や利益の向上につながっているのです。
Quorum(定足数、提案可決に必要な投票数)について
Quorum(定足数)とは、議案の可決に最低限必要な投票数です。
Cosmos Hubのガバナンスにおいては、提案の可決に必要な投票数です。
Cosmos HubにおけるQuorumは、ネットワーク全体の投票可能な総数(つまりステーキングされているATOMの総数)の40%となっています。
提案の投票結果が有効とみなされるためには、投票期間である14日間の内に Quorum を満たす必要があります。
もし Quorum に達しない場合、当該提案のためにデポジットされたATOMトークンはバーンされ、提案は無効になります。
上の画像は、ATOM2.0に関する提案の詳細です。
Turnout の部分をご覧いただくと、ステークされているATOMの総数の約76%が投票されていることが分かります。
Quorumである40%を超えているので、この提案の投票結果は有効とみなされています。
投票のシステム
ガバナンス投票については、バリデータの投票と個人の投票に二分されます。
Cosmos Hubへのガバナンス投票に参加する際には、ATOMをステーキングしている必要があることは先ほどお伝えしました。
一般的に個人のユーザーは、所有するATOMをステーキングする(デリゲートする)ためにバリデータを選択します。
ここで、「バリデータとして表明する意見(投票)と個人として投票する意見との間に食い違いが起こった時にどのようになるのか?」という疑問が浮かぶ方もいるでしょう。
結論を申し上げますと、バリデータの投票は個人の投票によって上書きすることが可能となっています。
以下のような例で考えてみるとわかりやすいと思います。
ある提案に対して、とあるバリデータがNO に投票したとします。
しかしながら、当該バリデータにATOMをステーキング(デリゲート)していたAさんは、その提案内容に対してはYESの意見だったので個人としてYES に投票しました。
この時、Aさんが所有しているATOM の数量分の投票としては、Aさんが投票したYES という投票結果に上書きになるのです。
まとめ
ここまでの解説で、Cosmos Hubにおけるガバナンスのプロセスはご理解いただけたと思います。
ATOMをステーキングしている方でこれまでガバナンスに参加していなかった方は、ぜひ積極的に提案への投票を行ってコミュニティを盛り上げていきましょう!
参考文献・関連記事
本記事の内容は、Cosmos Hubの公式ドキュメントを参考に作成いたしました。
よりCosmosのガバナンスに関してより詳細を知りたい場合は、コチラの公式ドキュメントページからご覧ください。
なお、本メディアでは他にもCosmos(コスモス)関連の記事を公開しております。
もし関心がありましたらご覧いただければ幸いです。
弊社について
弊社Stir(@Stir_Network_JP)では、ステーキングやノード(バリデータ)、テストネット参加用のノード作成・運用・保守、およびマイニング支援に関するサービスを提供しております。
ご関心をお持ちの場合は、弊社HPをご覧いただいた上でお申込み、およびお問合せいただけますと幸いです。