Coinbaseとセコイアの出身者が設立したクリプトVC「Paradigm」を徹底調査!
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みなさんこんにちは!Stir labリサーチャーのプリズム(Twitter:@prism_cryptos)と申します!

今回の記事は、トップクラスの知名度を誇る暗号資産の投資会社「パラダイム(Paradigm)」に関する調査レポートとなっております!

パラダイムの概要を解説するのはもちろん、時系列で関連ニュースを追ってパラダイムの投資戦略やスタンスを考察していきます!

 

この記事を見ることで、自らの投資にも活用できる知見が得られる可能性があります!

ぜひぜひ最後までご覧ください!

 

パラダイム(Paradigm)とは?

まずは、パラダイムの概要を解説いたします。

パラダイムは、一言でいえばブロックチェーン・暗号資産系プロジェクトへの投資に特化したベンチャーキャピタルです。2018年に設立されました。

ベンチャーキャピタルとは一般的に、創業して間もない企業、もしくは事業が軌道に乗り始めた企業(いわゆるスタートアップ、ベンチャー)への投資を主な業務として行っている機関のことです。

つまりパラダイムは、ブロックチェーン・暗号資産関連の会社やプロジェクトへ特化して投資を行っている会社ということです。

 

 

パラダイム(Paradigm)の投資先

パラダイムはブロックチェーン技術や暗号資産に特化した投資を継続的に行ってきました。

公式サイトでの情報によると、2022年1月10日時点では43個のプロジェクトへ投資を行っていると明記されています。

パラダイムの投資先はこちらのページからご覧いただけます ⇒ Companies

 

パラダイムの目立った投資先としては、

  • 世界トップレベルの暗号資産取引所「FTX」
  • DeFiのパイオニア的プラットフォーム「Uniswap(ユニスワップ)」
  • GameFiのパイオニアであるAxie Infinity(アクシーインフィニティ)を生み出した「Sky Mavis(スカイ・メイビス)」

などが挙げられます。どれもクリプト業界で一世を風靡したプロジェクトばかりですね。

 

チームメンバー

世界的な暗号資産ベンチャーキャピタルを運営する方たちは、どのようなキャリアを歩んできたのか?

パラダイムの公式ホームページにて、チームメンバーの略歴を閲覧することができます。

当該ページはこちらです ⇒ Team

 

2022年1月1日時点において、パラダイムのメンバーはこのページで紹介されている40人のようです。

 

注目すべき人物は、ページの一番上に表示されている二人の男性です。

下記より詳しく解説していきます。

フレッド・エールサム(Fred Ehrsam)

パラダイムの共同創業者です。

アメリカの名門デューク大学を卒業後に、外資系投資銀行であるゴールドマンサックスにてトレーダーとして勤務しました。以前はアメリカ最大手の暗号資産取引所「コインベース(Coinbase)」を創業しており、代表を務めていました。2017年に代表を辞任し、2018年にパラダイムを設立しています。

 

マット・ハング(Matt Huang)

こちらもパラダイムの共同創業者です。

MIT(マサチューセッツ工科大学)を卒業後、ゴールドマンサックスの債権アナリスト、MITでの研究者を経てSNSの分析会社Hotspotsを起業しました。2012年にHotspotsをTwitter社へ売却した後は、エンジェル投資家としてTiktokを生み出したバイトダンス等に投資を行ってきました。世界トップレベルのVC「セコイア・キャピタル(Sequoia Capital)」の経営に携わった後に、パラダイムを設立しています。

 

その他のメンバー

パラダイムにはその他にも、華々しいキャリアを持った方たちが在籍していました。

  • Googleの機械学習エンジニアとして従事
  • ハーバード大学にて神経エンジニアリングの修士号を取得
  • 高校生の時に行ったブロックチェーン技術の研究が、インテルとNSA(アメリア国家安全保障局)により採択される
  • Twitch、Instagram、Google、Microsoftにてエンジニアインターンを経験

 

総括すると、パラダイムはクリプトの雄であるCoinbaseの創業者と、ベンチャーキャピタルの雄であるセコイア・キャピタルの経営者から設立された、サラブレッドなクリプトVCであると言えますね。

 

HPから分かるパラダイムの投資スタンス

パラダイムの投資スタンスは、ホームページのAboutページからご覧いただけます。

Aboutページはこちら ⇒ Paradigm

 

このページにおいて、以下のような記述があります。(日本語訳済み)

私たちの投資アプローチは、柔軟で、長期で、マルチステージで、そしてグローバルです。私たちは頻繁にアーリーステージ(プロジェクト発足の初期段階)から投資先へ関与し、長期に渡って追加投資などを行ってプロジェクトをサポートします。

 

私たちは投資先に対して密接にハンズオン(経営やプロジェクトへの関与)を行い、技術面(インセンティブ設計、セキュリティ対策、総合的な仕様の検討)から経営面(人材の採用、法規制に対する対策)に渡ってプロジェクトの可能性を最大まで引き上げるためのサポートを行います。

 

赤字部分に注目すると、パラダイムの投資先が非常に魅力的であることが分かると思います。

なぜならばパラダイムが投資したプロジェクトは、パラダイムからの投資資金のみならず、人的資本やノウハウをフル活用してプロジェクトを成長させることができるからです。

 

そして「チームメンバー」の章でご紹介したように、パラダイムは優秀な人材を多く抱えています。事業を成長させるための人、金、情報がそろっている環境であれば、当該プロジェクトの成功確率は高まるでしょう。

パラダイム側としても人的リソースを提供する以上、当該プロジェクトの価値を上げるために最善を尽くす動機が存在します。

 

上記日本語訳の原文はこちらです。

Our approach is flexible, long term, multi-stage, and global. We often get involved at the earliest stages of formation and support our portfolio with additional capital over time.

We take a deeply hands-on approach to help projects reach their full potential, from the technical (mechanism design, smart contract security, engineering) to the operational (recruiting, regulatory strategy).

 

パラダイム関係のニュースを時系列順に深掘り

パラダイムに関連するニュースを時系列順に抜粋し、パラダイムの過去の動向を観察していきます。

抜粋元のニュースとしては、ブロックチェーン・暗号資産領域におけるグローバルメディア3社「CoinDesk」、「Cointelegraph」、「The Block」に掲載された記事を使用します。

 

2021年10月5日の記事 Cointelegraphより【Axie Infinity developer secures $152M in Series B funding from investors

この記事では、アクシー・インフィニティを運営しているスカイ・メイビスが、1億5200万ドル(日本円で約1550億円)の資金調達を行ったことが解説されています。

この資金調達には、グローバル暗号資産取引所のFTX、ベンチャーキャピタルの a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)、そしてパラダイムといった、多くの著名な機関投資家が参加しました。

今回調達した資金は、ゲーマーにとっての経済的、金銭的な自由を作り上げる(アクシー・インフィニティの開発)ために使われるようです。

 

 

抜粋元記事:

Axie Infinity developer secures $152M in Series B funding from investors

 

2021年11月15日の記事 The Blockより【Paradigm launches $2.5 billion venture fund for crypto companies

この記事では、パラダイムが創業期のクリプト系企業やプロジェクトへ投資するための新たなファンドを、25億ドル(日本円で約2900億円)規模で組成すると発表したことが解説されています。

パラダイム共同創業者のマット・ハングは、

「Web3.0アプリケーションは何千万人というユーザーを獲得するまでに成長しましたが、Web2アプリケーションの数十億人というユーザー数には未だにほど遠い状態です。旅は始まったばかりで、暗号資産の可能性がこれほど明確になったことはありません。」

と言及し、このファンドの組成が、暗号資産がいまだテクノロジー領域の最前線であることを示していると主張しています。

このファンドは、2021年6月に世界的なクリプトVCのa16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)が組成した22億ドルのファンド額を超えたことになります。

 

抜粋元記事:

Paradigm launches $2.5 billion venture fund for crypto companies

 

2021年12月16日の記事 CoinDeskより【Ethereum Privacy Startup Aztec Raises $17M in Paradigm-Led Series A

この記事では、イーサリアム上で動作するプライバシープロトコルの「Aztec(アズテック)」が、パラダイムを筆頭とした多くのベンチャーキャピタルから1700万ドル(日本円で約20億円)の資金調達を行ったことが解説されています。

調達した資金は、プロダクトの開発費用、開発者への助成金、法律関係の業務に充てられるようです。

 

アズテックは一言でいうと、イーサリアムブロックチェーン上におけるプライバシーの問題とスケーラビリティ問題の両方を解決しようとしているプロジェクトです。

なおスケーラビリティ問題とは、イーサリアムブロックチェーン上の取引時間が長かったり、取引を行う際の手数料(ガス代)が高騰している問題を指す言葉です。

 

厳密に言うと、ゼロ知識証明を駆使したイーサリアムのスケーリングソリューションを開発しようとしているプロジェクトだと言うことができます。ZK-rollups(ZKロールアップ)と呼ばれる、イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決する手法の開発を進めています。

 

ちなみにパラダイムのCTO(最高技術責任者)であるジョージオスは、「アズテックはイーサリアム上のDeFiへのアクセスを可能にしながら、プライバシーの問題を解決する」と主張しています。

 

 

抜粋元記事:

Ethereum Privacy Startup Aztec Raises $17M in Paradigm-Led Series A

 

パラダイムの投資先のカテゴリ分け

パラダイムは、2022年1月1日時点で43個のプロジェクトへ投資を行っています。パラダイムの投資先をカテゴリ分けして概観することで、投資動向を観察してみましょう。

カテゴリ分けした表が以下になります。

※カテゴリ名「金融」は、暗号資産に関係する金融系サービスが該当します。

 

金融 DeFi NFT 取引所 ウォレット GameFi L2 その他 合計
6 13 3 3 2 3 3 10 43

 

この表を見てみると、パラダイムは特にDeFi系プロジェクトへの投資に積極的だと理解できます。

なお上記カテゴリ分けの詳細に関しては後述した「9.【補足】パラダイムの投資先カテゴリ分け 詳細」に記載しておりますので、関心があればご覧いただければ幸いです。

 

パラダイム(Paradigm)から学ぶ投資戦略

この章では2022年のクリプト領域における投資戦略を、前述してきたパラダイムの動向をもとに総合的に考察していきます。

※あくまでもパラダイムの動向から導き出された筆者の考察であり、投資助言ではないことを前提にご覧いただけますと幸いです。

 

パラダイムの投資方針

結論から言うとパラダイムの投資方針は

「既存の著名プロジェクトの見直し」

が大きな軸なのではないかと考察できます。

 

上述したパラダイムの動向を見ると、そのような方針が顕著に表れています。

特筆すべきトピックはスカイ・メイビスへの投資です。

 

パラダイムがスカイ・メイビス(アクシー)へ投資を行ったのは2021年10月で、アクシーの盛り上がりが絶頂期の時です。

下図の Coinmarketcap でのAXSトークンの価格推移を見てみると、アクシーの盛り上がりは2021年7月から始まり、11月に一段落したと解釈することができます。

 

 

一般的にベンチャーキャピタルは、創業して間もない企業、もしくは事業が軌道に乗り始めた企業(いわゆるスタートアップ、ベンチャー)への投資を主に行います。なぜならば、投資先が急成長することによる多くのリターンを期待しているためです。

上記の前提を考慮すると、パラダイムがアクシーへ投資を行ったということは、2021年10月のアクシーブーム時点からでも良い投資パフォーマンスを出せると予想を立てたからだと考えられますよね。

 

このように、既に知名度があるクリプト系プロジェクトへVCから投資が入る流れは、今後もあり得そうなムーブメントだと予想できます。

 

今後、私たちが取るべき方針は?

結論としては、既に著名なクリプトプロジェクトの見直しを行うと良いかもしれません。

 

事実として、CurveやAaveといった著名なDeFiプロジェクトは、技術や機能の継続的なアップデートが行われています。

アクシーインフィニティやThe Sandbox(ザ・サンドボックス)といったGameFiプロジェクトも、ユーザー体験の向上といった面で着実に開発が進んできています。

 

もしかすると、著名プロジェクトには投資妙味がないと考える方が多いかもしれません。確かに、既に注目されているプロジェクトに投資しても、リターンは少ない可能性はあります。しかし、必ずしもそうとは限りません。

 

誰もが知っているであろう巨大IT企業「Google」を考えてみましょう。

Googleが世界的なIT企業の地位を確立した後も、その株価は上昇を続けています。これはひとえに、Googleの技術力、経営力が盤石であったが故の結果ではないでしょうか。

 

 

クリプト系プロジェクトに関しても同様に、最終的には

 

  • プロジェクトの技術基盤が盤石であるか
  • コミュニティは活発であるか
  • 持続可能性があるか

などを考慮して投資を行うと思います。

 

著名なプロジェクトには、クリプトプロジェクトとして成功するための基盤が既に存在することが多いです。ゆえに著名プロジェクトを再び精査することで、新たな投資機会が得られると考えます。

 

最後に「5.パラダイム関係のニュースを時系列順に深掘り」で紹介した、パラダイムの共同創業者であるマッド・ハングの言葉を思い出してみましょう。

「Web3.0アプリケーションは何千万人というユーザーを獲得するまでに成長しましたが、Web2アプリケーションの数十億人というユーザー数には未だにほど遠い状態です。旅は始まったばかりで、暗号資産の可能性がこれほど明確になったことはありません。」

 

今回の調査レポートはここまでとなります!

当記事の情報が読者の皆様のお役に立てれば光栄です!

 

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コチラの記事もおススメ

Stir labでは暗号資産ベンチャーキャピタル(VC)の解説記事を他にも配信しています。

まだご覧になっていない方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。

 

①アラメダリサーチ(ALAMEDA RESEARCH)

世界トップレベルの暗号資産投資会社「アラメダリサーチ」を徹底調査

 

②パラダイム(Paradigm) ー 現在ご覧いただいている記事です

 

③ポリチェーンキャピタル(Polychain Capital)

 

【補足】パラダイムの投資先カテゴリ分け 詳細

※この章はパソコンでの閲覧を推奨いたします。

 

「6.パラダイムの投資先のカテゴリ分け」での集計に当たって、パラダイムの投資先をクリプト系プロジェクトで頻繁に用いられるカテゴリに分けて表にまとめました。結果は下記表の通りになります。

なお、1列目に「プロジェクト名(当該プロジェクトへの投資がアナウンスされた年月)」という表記で記載し、2列目以降は当該プロジェクトがカテゴリに当てはまる場合は〇を記入していくという形式でまとめています。

※カテゴリ名「金融」は、暗号資産に関係する中央集権的な金融系サービスが該当します。

一番下の行に各カテゴリのプロジェクト数を集計しています。

 

プロジェクト名 金融 DeFi NFT 取引所 ウォレット GameFi L2 その他
Coinbase
(不明)
Flashbots
(不明)
Spacemesh
(2018月9月)
Starkware
(2018年10月)
Namebase
(2018年11月)
Veil
(2019年1月)
Numerai
(2019年3月)
Uniswap
(2019年4月)
Compound
(2019年11月)
Maker
(2019年12月)
Optimism
(2020年2月)
Amber
(2020年2月)
Matrixpool
(2020年2月)
Yield
(2020年3月)
Argent
(2020年3月)
Keep Network
(2020年4月)
Diem
(2020年5月)
Reflexer Labs
(2020年8月)
Skynet Labs
(2020年9月)
Fireblocks
(2020年11月)
CoinSwitch
(2021年2月)
opyn
(2021年2月)
Synthetix
(2021年2月)
Zora
(2021年3月)
TaxBit
(2021年3月)
Cosmos
(2021年3月)
BlockFi
(2021年3月)
Chainalysis
(2021年3月)
dYdX
(2021年6月)
FTX
(2021年7月)
Euler
(2021年8月)
Fractional
(2021年8月)
Royal
(2021年8月)
Genesis Digital
Assets
(2021年9月)
O(1) Labs
(2020年10月)
Gauntlet
(2020年10月)
Parallel
(2021年10月)
Sky Mavis
(2021年10月)
Osmosis
(2021年10月)
ArenaX labs
(2021年10月)
Jet
(2021年11月)
BetDEX
(2021年11月)
Aztec
(2021年12月)
プロジェクト名 金融 DeFi NFT 取引所 ウォレット GameFi L2 その他
6 13 3 3 2 3 3 10

 

この表において特徴的なのが、著名プロジェクトへの投資を比較的最近(2021年中)になって行っていることです。

参考文献

Paradigm

Axie Infinity developer secures $152M in Series B funding from investors

Paradigm launches $2.5 billion venture fund for crypto companies

Ethereum Privacy Startup Aztec Raises $17M in Paradigm-Led Series A

AZTEC Protocolとは?Ethereumの取引を秘匿化

【保存版】レイヤー2やロールアップ(ZKロールアップなど)を「理解」しよう!|ユウキ|note

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